ふと目にした写真が心に留まることがあります。何が気に入ったのか気になったのか判らないけども気になる…大概そういう事は割とすぐ忘れてしまって、走り書きのメモでも残そうものなら謎の暗号と化してしまうのですが、このシャツの事は覚えてました。
前に見たギャザーいっぱいの古いシャツ。全員が緊張した面持ちで写ったモノクロの家族写真の中の、19世紀ヨーロッパの田舎のお父さんが着ていたのは正にこんな感じのギャザーシャツでした。
昨年の夏前には軽やかな薄手のリネンで同じカタチのシャツを作ったのですが、本当に作りたかったのはこのごわごわしっかり質感の生地のもの。
このコットンリネンのツイル生地はそれほど厚みはないのですが、糸が細くて目が詰まっているのでとてもしっかりと丈夫な生地です。落ち着いたベージュのムラ染めがほどこされており、アンティークを思わせる色あいに惹かれて手に入れたこの生地にぴったりのシャツができたのでは…と密かに自負しております。
とてもハリのある生地なのでごわっと膨らんでしまってなかなか身体に馴染みませんが、長く身につけるうちにどんどん柔らかくなって自分の服へと育っていきますので、そんな経年変化を楽しんでいただける方に。